阿部浩二 | Koji ABE

−初夏−

2015年6月26日(金)−7月19日(日)

阿部浩二さんは、自身が過ごす場所から素材や情報を選び、それを作品化していく美術家です。これまでの作品では、市民から提供され集められた大量のネクタイを大分市街地にインスタレーションした《社会見学》(1993年)や、既存の備品により作品展示の概念と空間を再構成した福岡市立美術館での《模様替−待合室》(1998年)等、場所に対する関わり方を独自のユーモラスな切り口によって提示をされました。また近年の制作では日常の生活環境との接点を深め、子供たちとつかまえた昆虫をモチーフにした木彫作品や、お裾分けの野菜を描いた水彩画、あるいは身の周りの日用品を生き物に見立て記録していく写真作品等を手がけています。

向井三郎 | Saburo MUKAI

−線の林−

2015年5月15日(金)−6月7日(日)

向井三郎さんは、アトリエから見える風景や身近な人々の姿をモチーフに、木炭による素描を中心とした平面作品を手がける美術家です。

近年の向井さんの作品は、線描のみで画面を自立させていく傾向を強め、2014年の展覧会「生きられた時間」では、人物の肖像をギャラリーの壁面に直接描いていくウォールドローイングを行うなど、実験的な制作展開も試みています。こうした向井さんの線描による作品表現は、ご自身がこれまでに行ってきた制作過程と同様に、対象を見ることとそれによって得られる視覚情報を画面に写しとっていく基本的な態度や、制作行為の反復性からつくられる多焦点的な画面を表出している一方で、作品はより平面的な図像へと移行しているように映ります。

アートスタジオ「nohako」開設のご案内

2015年5月、生活空間の中において美術と工芸の作品を紹介するアートスタジオ〈nohako〉を開設します。 「野」は、自然のままに草や木の生える広い場所をイメージさせる言葉ですが、私たちnohakoは、「野」という場を山や川といった自然環境のみでなく、人や物が交流する都市空間も生きるものの営みに満ちた「野」であると考えています。nohakoはそうした「野」において、静かに作品をつくり続けるアーティストたちの仕事から人が生きる場での創造性や美しさを見つけていきたいと思います。
2015年のnohakoは、5月15日より向井三郎さんの絵画作品展「線の林」を、6月26日より阿部浩二さんのインスタレーション作品展「初夏」を開催します。どうぞご高覧下さい。