−素形への触れ−

2019年5月17日(金)−6月9日(日)

今春のnohakoは、祐成政徳展「素形への触れ」を開催します。祐成さんは、木や金属、ナイロン製の布など、多様な素材による立体作品を制作する美術家であり、これまでも作品と場が呼応する空間を数多く提示してきました。

祐成さんの作品は、鮮やかな色彩とともに空間からスケールアウトしていくおおらかさをもち、観者が作品空間に内包されていく間口を含んでいます。そうした祐成さん独自の空間の気配は、単にオブジェクトを布置することからつくられるものではなく、手仕事のなかで確かめる素材の肌理や形態への対峙を手放さない作家自身の態度により生み出されていると思われます。こうした祐成さんの表現に見る作品の自立性について、nohakoは「素形」という言葉を置き、今回の展覧会の企画を構想しました。

「素形」とは、「作品としての形が生まれるもと」という意味をもたせた造語です。特に今回の展覧会の場合、空間に見出される柱状の形態をめぐり、作品によって現れてくるイメージの抽象性や象徴としてのかたちに注目をしながら、それを「素形」と呼んでみたいと思います。そして、「素形」として現れるイメージが何かしらの具体物の代替ではなく、制作を契機として引き出される作家自身の無意識下にあるイメージであるとするならば、そのイメージそのものは何かという問いへのアプローチをも、本企画では試みたいと考えます。

nohakoにおいて立ち現れる祐成さんの作品空間に、どうぞ足をお運び下さい。