−おもてをたてる−
2017年10月6日(金)−10月29日(日)
nohakoでは「絵画への経験」をテーマに、今秋より3つの展覧会を開催します。第一回目の展示は、伊藤史展「おもてをたてる」です。
伊藤さんは、鮮やかな色面からなる抽象絵画を制作する作家です。初期の制作では、色相の重なり合う表層のなかに、公園などの身近で何気ない風景が想起される作品を手がけてきました。また近年では、一色のみの油絵具を日々塗り重ねていくことによってつくられていく絵画の試みや、紙を支持体としたパステルや水彩絵具によるドローイングの連作に取り組み、自身の身体性や制作行為を一枚の平面として立ち上げていく表現へと移行しています。
こうした過程は、伊藤さんの制作そのものが「描く」という行為に集中され、二次的に、描かれたものから現れるイメージや物質性が絵画作品として客体化されていくことを物語っています。今回の展覧会のタイトルである「おもてをたてる」は、そうした伊藤さんの制作に対する態度をしるすために置かれた言葉です。「おもて」とは絵画のもつ表層や面性を、また「たてる」とはそれを壁面のように垂直な状態へと自立させていくことを意味します。今回のnohakoでの展示は、油彩画によるリセントワークを紹介するものですが、伊藤さんがたてるおもてのなかに、絵画の成り立ちとそれを観ることのリアリティーにふれられればと思います。
伊藤史 Fubito ITO
- 1964
- 東京都生まれ
- 1987
- 武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業
主な個展
- 2002
- ギャラリーなつか(東京)、コート・ギャラリー国立(東京)
- 2003
- 「出げいこ」/TANI TAMOTSU HAUS(東京)
- スペース サトウ(東京)
- 2004
- 「oil on canvas」/A1アートスクール・ガレージスタジオ(東京)
- 2005
- 「木片の絵画展」/gallery shop なや(東京)
- 2006
- 村松画廊(東京)
- 2007
- ウイリアム モリス(東京)
- 2009
- 「絵の温度」/ギャラリー砂翁 & ギャラリートモス(東京)以降2011
- 2013
- 「けものみち」/ギャラリー砂翁(東京)
- 2014
- 「絵のある時間 画本と木片」/ギャラリー砂翁(東京)
- 「paintings」/画廊「荘」(東京)
- 2015
- 「stories」、「縦の絵」/ギャラリー砂翁(東京)
- 2016
- 「PAINTING on PAPER」/ギャラリー砂翁(東京)
- 「PASTEL on PAPER」/画廊「荘」(東京)
- 2017
- 「WORK on PAPER」/ギャラリー砂翁(東京)
主なグループ展
- 2000
- GALERIA RASEN select 2000 展PART1/ガレリア ラセン(東京)
- 2001
- 現代美術展/横浜市金沢区役所区民ホール(神奈川)以降2002
- 2004
- 青木繁記念大賞公募展/石橋美術館(福岡)、AXISギャラリー(東京)、郡山美術館(福島)
- 2007
- 「最終回。」/TANI TAMOTSU HAUS(東京)
- 2009
- 空間とイメージ展/韓国文化院ギャラリーホール(東京)